この風景を未来まで残すために。穏やかな風が吹く中山間で描いた夢。
『株式会社ちぎりファーム』取締役 園主
生島 陽子さん
荒廃する故郷を見て、芽生えた使命感。
基山町園部地区。のどかな中山間地域では、自然の恵みをいかした営みが続いています。しかし、高齢化が進み、耕作できない土地が増加。「子どもの頃から見てきた景色を守りたいと思ったんです」と『ちぎりファーム』で園主を務める生島陽子さんは話します。
まず、生島さんが考えたのが「地区に人を呼ぶこと」でした。そうして2019年11月にマルシェを開催。内容は、地元の方々が作る食事に、ハンドメイド作家さんの出店、ミュージシャンの演奏など。そして、園部の良さを堪能できるように、里山の風景に向かって椅子やテーブルを配置。多くの人がゆったりと流れる時間を楽しみ、園部地区が賑わいました。
進むべき道は、この土地が教えてくれる。
生島さんは、2022年から農業を始めます。生産する『ちぎり米』は、農薬・化成肥料を使用していません。また、今後は農業体験や棚田のオーナー制度をつくるなど、挑戦したいことがたくさんある、と生島さんは言います。一過性の賑わいも大切ですが、長い時間をかけて根付いた文化をしっかり引き継ぐ覚悟が感じられます。
ひたすらにまっすぐ突き進んできたように見える生島さん。「私は、直感で動くタイプなんです。ただ、動くときの指針になっているのが、これをやったら土地が喜んでくれるかどうかということ。土地を愛して、先人たちの教えや知恵も大切にしながら活動を進めていきたいと思っています」基山愛に溢れる賛同者も増え、里山で描いた夢が、地域を変えようとしています。
生島 陽子(Shojima Youko)
基山町に生まれ、大学卒業後は、鳥栖市の福祉施設で勤務。2人目の子どもの育児休暇中に、故郷の風景がなくなってしまう危機を感じ、現在の活動をスタートさせる。基山町園部地区の自然を満喫できるマルシェを開催するなど精力的に動くなか、2022年には新規就農者として農家へ。園部の棚田やその周辺に根付く文化や景色を守るために、米づくりに力を注いでいる。
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LOCALIST(ローカリスト)は、佐賀県内で精力的に地域づくり活動に取り組んでいる方で、若い世代の方々にお願いしています。