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わたしがつくる、さが #4 草田彩夏さん(こどもの居場所立ち上げサポーター)

わたしがつくる、さが #4 草田彩夏さん(こどもの居場所立ち上げサポーター)
佐賀県全域地域と人
佐賀県全域

地域に根付いて活動する人が、自身の言葉で活動や想いをつづる「わたしがつくる、さが」。第四回は、こどもの居場所立ち上げサポーターとして、地域におけるこどもの居場所づくりに携わる草田彩夏さん。
地域にこどもの居場所が必要な理由、地域の人とこどもをつなぐサポートのあり方などを語っていただきました。

草田 彩夏(くさだ あやか)
こどもの居場所立ち上げサポーター(佐賀県地域おこし協力隊)
情緒や発達分野でこども支援に従事した後、2022年に東京都から佐賀県へ移住し、地域おこし協力隊に着任。「こどもの居場所立ち上げサポーター」として、こどもの声を聞く大人を地域に増やすために日々奔走中。
Instagram:https://www.instagram.com/ayaka_kusada

「こどもが居場所と感じる瞬間をつくりたい」地域の人とともに走った日々

こどもの居場所立ち上げサポーターとはどのような仕事か

こどもの居場所とは、大人の見守りの中で安心して過ごすことができる場所。児童館や図書館、公園や放課後児童クラブなど多くありますが、私が主に携わっているのは地域が主体となって場づくりを行なっている取り組みです。居場所づくりに興味がある地域の人からの相談を受けて、形作るまでの伴走(サポート)をしていく役割を担っています。

前職では発達障害や不登校傾向のこどもの支援をしていましたが、困っている自覚のある人にしかアプローチできないことに葛藤がありました。
こどもたちや家族の「こまり」の背景にあるのは、学校や家庭で自分を認めてくれたり、悩んだ時に話すことができたりする存在がいないこと。それから、頼れる存在がいる環境づくりに興味関心が向かい、「地域」に対してアプローチしていく仕事がしたいと思うようになりました。

当時は、生まれ育った東京で働いていましたが、東京は人の出入りが多くて「地域」をなかなか感じられず、コロナ禍だったこともあり、地方で仕事を探すことにしました。
佐賀県で「こどもの居場所立ち上げサポーター」を募集していることを知り、特定の市町ではなく県全域を活動範囲とできること、同期が何人かいる心強さに魅力を感じ、「これだったら、やってみたい、できるかも。」という直感を信じて応募。そして今に至ります。

肩書きや役割がさまざまな「地域」の人の志に価値がある

2022年、佐賀に移住し、こどもの居場所立ち上げサポーターとしての活動が始まりましたが、最初はもちろん何もわかりません。
まずは各地域でこどもの居場所づくりを実践している方々を訪問して地域性を知っていくことから始めました。また、居場所づくりを実践している方、興味を持っている方に定期的に相談してもらえるよう公式LINEを開設。話をする機会を作っていきました。

いろいろな方とお話ししていくうちに、地域の人々は、親や先生といった肩書きはないけれど、市民の一人としてこどもに安心を与えられる存在になろうという思いがあることに気づかされました。
同時に、地域は人の役割や肩書きに多様さがあってはっきりしていないことも多いからこそ、周囲からの信頼を得づらく、声をあげにくいことが課題だとわかりました。
こうした人々の気持ちや声を大きくしていくことが、県庁職員としてサポートする意義でもあります。
今では民生委員、社会福祉協議会、コミュニケーションセンター、自治会長…とさまざまな年齢層の人と話す機会があり「地域や暮らしはこのように支えられているのか」と私も学ぶことがとても多いです。

また、居場所づくりに意欲があっても、普段こどもと関わっていないため「こどもとの関わりに不安がある」「今のこどもたちにどう対応して良いのか分からない」と話す方もいます。
こどもが物理的に居られる場所を増やしていく意識と同時に、こどもたちが安心して関われる大人が地域に広がっていくことも大事なことです。
そこで、こどもとの関わり方について学ぶ「こどものためのおとなの授業」を2023年度に3回実施しました。ありがたい事に、令和6年度は県の事業として継続されている状況です。

「こどもの居場所づくり」はこどもと生きること

こどもの居場所は、どんなこどもも来ていい場所です。学年を分けたり、目的を決めたりしているわけでもありません。だからこそ、こどもたちが自由に安心して過ごしていると感じます。
訪問時、何気ないことや、ときには悩みを話してくれたりすることがあります。こどもたちの中には、「親には内緒にしてね」と居場所の人に話すこどももいるそうです。
きっと、そのこどもにとって居場所が安心安全な場所だからこそ、地域の人が信頼できる人として映っているのだと思います。

「こどもの居場所づくり」において大切なのは「こどもが、そこを居場所と感じられているのか」という視点。どうすれば”こども”の居場所となるのかを多角的に地域の人と考えていく必要があります。
そのため、相談を受けた際はできるだけ市町の職員を含むその地域をよく知る方々に、一緒に話に入ってもらうようにコーディネートしています。そういった調整役を担えるのも、行政職員として、地域おこし協力隊としての強みかもしれません。
地域の人をサポートするとはどういうことなのか、こどもの居場所とはなにかを時にはブレながら考え続けられたのは、地域の皆さんや県庁の職員の皆さんが一緒に考え、対話や助言をしてくださったからだと思います。

こどもの居場所づくりはこどもたちと共に生きることや暮らすことそのものです。行政の立場から語ろうとすると県内の居場所の箇所数や目標に縛られがちですが、本質から少し乖離してしまうジレンマを感じています。もちろん正解はありませんが「こどもの居場所になっているのか」と問い続ける姿勢が大事なのかもしれません。
佐賀に来てから任期の3年間をまもなく終えようとしています。思い返すと、奔走を重ねた日々が懐かしく、様々なことがありましたが、あっという間でもあったように思います。
こどもの居場所については、着任がコロナの終息期だったこともあり、コミュニティ活動が活発になり、取り組みをされる方が広がってきています。
来年度からは私の後任として、新しい協力隊員に来ていただく予定です。隊員にとっても、地域で活動している人にとっても「1からの関係づくり」になるため、新しい人を受け入れてもらえるよう、できる限りのサポートができればと考えています。そして、私自身も、この3年間の実践を活かして更にパワーアップできるように挑戦したいと思います。

写真:藤本幸一郎

移住3年目の草田さんおすすめのホッと一息つけるスポット

どんどんどんの森

佐賀に初めてきた時「どん3」を「どんどんどん」と読むと知って、同期のみんなで驚き、笑いあったことを覚えています。県庁の近隣に住む同期たちと仕事終わりや休日にご飯を持ち寄ってピクニックをして、日々のあれこれを話し合い…東京にいた頃は友だちと徒歩圏内で会えるような生活ではなかったので、まるで小学生になった気分でした。
土日にはマルシェが開かれ、親子やこどもたち同士で過ごす人も多かったことから、佐賀ののんびりした空気を味わうことができた意味でもほっとできる場所でした。
個人的には隣に図書館があって、本を借りられるのが最高です!

佐賀空港前のコスモス園

一面に平野が広がる佐賀ならではの景色を車窓から味わうことができるお気に入りのスポット。
秋になると空港前のコスモス園はきれいなピンク色で彩られます。友人が遊びに来てくれた時には見に行ったほどです。都会のコスモス畑と違って人も多くないので写真を撮るのにも困りません。

牧のうどん

麺といえば私は、ラーメンというよりうどん派で、これまでは香川のこしがあってツルツルした「かた麺」をこよなく好きで食べることが多く、高松まで食べに行ったこともあるくらいでした。九州に来て、仕事の合間にふらりと入ったうどん屋さんででてきたうどんにとても驚いたのを今でも覚えています。麺は出汁にたっぷり浸かり、なんと追い出汁がでているほど。柔らかくて麺が出汁を吸ってしまうので、追加の出汁が用意されていたのでした。食べても食べても減らない九州のうどんに最初は違和感があったのですが、慣れていくうちに、寧ろ柔らかいうどんを求めて足がお店に向くように。気が付けば今ではすっかり虜になってしまい、冬になると(佐賀は九州ですが、冬はとても寒いので)温かいうどんがつい食べたくなってしまいます。

からつだがし屋

唐津バスセンターのすぐそばにあるこどもたちに愛される駄菓子屋。
仕事ではもっぱらこどもたちが集う場所に出向くことが多いのですが、街中でもこどもたちがよく出入りしている場所があるとついつい近づいてしまいます。
夕方は小学生や中学生ぐらいのこどもたちが楽しんでいたり、土日は親子連れがゆっくりとお菓子を選んでいたり。
私が幼いころには何を選んでいたんだっけ、学校の遠足に何を持って行ったかな、と記憶をよみがえらせては、当時の想いにふけってしまうこの場所、ずっと残り続けていってほしいなと願うばかりです。

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