今回は県所属協力隊 日髙涼子さん の活動についてご紹介いたします。
日髙さんは県所属の地域おこし協力隊で、“山菜料理人見習い”として、山菜をはじめとする山の食材や料理方法を学び、箸とピッケル にて、日々山に関する情報を発信しています。着任からの1年間、佐賀の野山や食文化の魅力を発信するため、その種まきを地道に行ってきた日髙さん。
1年目の集大成として、春先に「野草茶に親しむランチ」が開かれました。
その様子をレポートします!
菖蒲ご膳について
日髙さんが日々、山菜について探究しているのが佐賀市富士町の奥にある「森の香 菖蒲ご膳」。
菖蒲ご膳は、およそ30年ほど前に、地域おこしの目的で富士町の菖蒲地区の方々がはじめたお食事処です。地元の方々で山菜をメインとした料理を提供し、現在では佐賀県全土、福岡市内からもリピーターが訪れるような、地域の魅力を発信する一つの拠点となっています。
日髙さんが協力隊に応募する時点で、菖蒲ご膳で“修行を積む”ことは決まっていましたが、活動の詳細については当初は決まっていなかったそう。
「(活動の内容について)菖蒲ご膳を立ち上げた西要子さんから『あなたが学びたいことはなに?私たちでお手伝いできることがあれば協力しますよ』とのお声かけをいただきました。」
そんなお声かけをいただいたことで、日髙さんが県の協力隊として、菖蒲ご膳のあたたかい皆さんに囲まれて学びを深めることができているそうです。
今回の企画のきっかけ
―今回の企画の経緯を教えてください。
「日々学んでいることを県内の方々へ伝えるためにSNS( 箸とピッケル )を運用していく中で、実際に現地に来て体験してもらいたいと考えていました。」
これまでに何度か、他団体からお話をもらい実施しているイベントは山の散策や公園、数十人単位の食事会などが多く、日髙さん一人での実施にはハードルがやや高かったそうです。
今回のような少人数でのランチ会にしたのはまだ他にも理由があるそうで…?
「(大人数の食事会となると)調理場の方々の顔があまり見られないため、もし自分で企画するときは“たべる人”と“つくる人”が直接触れ合えて、負荷が小さく、今後も長く継続できるイベントにしたいと考えていました。さらに、こだわったお料理が並ぶので、常連の方だけでなく、様々な層の方にも来ていただく、そのきっかけになればと思っています。」
実際に菖蒲ご膳、ひいてはこの地域を訪れる人たちが“食”を通して関わることができる、そんな未来図を描きながら活動している日髙さんならではの企画だなと感じます。
野草の魅力
菖蒲ご膳では普段から、4種類の野草をブレンドしたお茶を提供しているそう。地域でとれた野草をプロの目で目利きし、乾燥させ、丁寧にお茶にします。
日々目分量でブレンドするため、お店での提供時、その味は日によって異なるそうです。
「日によってはドクダミの香りが強かったり、キランソウの苦みが強かったり。お客様にそのことを伝えた時、『すごい!○○の風味なんて分からないわ!』と言われたことがあり、ストレートで比較テイスティングをする企画を思いつきました。」
じつは日髙さん、前職が某有名コーヒーストアで、そこでの比較テイスティングやオリジナルブレンドを作る経験を活かして今回の企画に至ったそうです。
実際に日髙さんと八田さんによる野草茶の説明からブレンドまでの工程で、“有識者”の集まるランチ会でも「へぇ~!」、「知らなかった」という声が響いてました。
野草の魅力って何なんでしょう。
「普段は雑草と認識している植物が実は飲用したり食したりできるという驚きや、本当に様々な香りや風味があることと、おまけとしてちょっと体に良かったりすることだと感じます。」
道端の草花たちは「かわいい」だけではなく、その「実用性」も野草の魅力の一つであるということを、このランチ会で実感しました。
工夫したこと
日髙さんはゆくゆくは「菖蒲ご膳」でのランチプランやイベントを通して、山菜や野草の魅力を伝え、富士町に足を運んでもらう機会を作ることを目標の一つとして掲げているそう。
「ゆくゆくは『菖蒲ご膳』の方々が自分でもやってみたいと思ってもらえるよう、負荷や経費があまりかからないよう意識しました。」
継続して続けられる企画にすることで、長期的にリピーターを確保していくことを目指しています。
また、今回は有田町協力隊の富田紗貴さんによる有田焼の器の提供がありました。
「器について、費用感を知るために富田さんに問い合わせたところ、器の貸し出しを提案してくださりました。さらに富田さんから有田焼の多様性を伝えるため、同一の器ではなくあえて異なる4種の器を並べるというアイディアをいただき、そこも楽しんでいただけるポイントとなったように思います。」
着任から時間が経ち、県・市町協力隊同士の交流が広がり、各自の活動内容がより奥深くなっています。
これからについて…
任期の2年目に突入し、さらに活動の幅が広がってきている中で、今後の展望についてうかがいました。
「協力隊に応募した理由でもある、生活と仕事がリンクした状態を目指すため、自然豊かな土地に拠点を持ちたいと考えています。そこで地域の方々からその土地のこと、食のことなど、色々うかがいながら関係を築き、ゆくゆくはその地域でも『お手伝いイベント』や『野草イベント』などを開催し、交流の場を作っていきたいと考えています。」
菖蒲ご膳を拠点の一つとして県内の様々な野山をめぐる中で、野草だけでなく佐賀の風土を体感し、その魅力を共有していくような感覚でこれからの活動を見据えている日髙さん。
―今回の野草茶ランチ会など今後の企画について展望はあるんですか?
「今後の活動としては次の三つを考えています。一つ目が富士町に足を運んでもらう機会を作ること、二つ目は交流を促す内容を盛り込んだ『お手伝いイベント』の開催により単発的な人手不足の解消や関係人口の創出を図ること、三つ目は地域の方と参加者が交流できる「野草イベント」を企画することです。」
“実際に体験してもらい、その背景やストーリーを知ってもらう。”
金銭以外の付加価値による集客を目指し、さらに専門性と柔軟性に富んだ日髙さんの企画が展開されること期待してしまう、そんな取材になりました!
みなさんもぜひ、菖蒲ご膳に足をお運びください^^
関連情報
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★次回“野草に親しむランチ” 情報★
□日時:令和5年6月30日11:00~
□定員:先着8名
□申込み:「森の香菖蒲ご膳」電話0952-57-2011
詳細については こちら をご覧ください!