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人の輪が広がれば、高島は100年後も存続できる。野﨑清美さんインタビュー

人の輪が広がれば、高島は100年後も存続できる。野﨑清美さんインタビュー
高島地域と人
高島

▼この記事でわかること
・高島で「宝当 海の駅」とゲストハウス「高島番屋」の運営に携わる野﨑清美さんのインタビュー
・離島にゲストハウスをつくった理由
・高島の魅力
・島民みんなが「先生」になるアクティビティ計画
・老人ホームをつくりたい

野﨑清美さん
株式会社新航丸 取締役
高島の定置網漁を営む家に生まれ育つ。高校卒業後に島を出た後、飲食業やアパレルを経験し、30歳でUターン。「宝当 海の駅」の運営と家業の漁業に携わる。人と人をつなぐ島づくりの実現に向けて精力的に活動している。
HP: https://shinkoumaru5.com

魚が獲れる島にいるのに本土に魚を買いに行く違和感

今年、高島初の宿泊施設「番屋高島」をオープンした野﨑清美さん。島で三代続く漁業者の家に育ったからこそ生まれた違和感が宿泊施設を作ったひとつの理由だといいます。
「50年ほど前、高島には100人ぐらい漁業者がいました。ちょうどその頃に、私の祖父が定置網漁を始めたんですね。定置網漁はある程度まとまった漁獲を得ながらも、獲りすぎない自然にもやさしい漁。それで現在も家業は続いていますが、島全体では高齢化や漁法の変化で辞めていった人も大勢います。今いる漁業者は、海士(あま)も含めてたったの14人。昔は、それぞれの家の食卓に家族が獲ってきた魚が並ぶのが当たり前でしたが、今はほとんどの島民がわざわざ唐津のスーパーに買いに行くんです。魚が獲れる島に住んでいるのに外に出ないと入手できない。なんだかおかしいなと。島で獲れた魚を島で食べられるようにしたいと思ったのが一番大きな理由ですね」
「番屋高島」は、島外から移住してきた新航丸の漁師さんたちが住んでいた漁師小屋をリノベーションしたゲストハウス。現在は、新航丸の漁網修理のためのクラウドファンディングに参加してくれた方へのリターン宿泊が始まっています。

清美さんが進めている計画の一つがカフェレストラン。
現在、島に来る観光客のほとんどが、10時の定期船で来て、宝当神社にお参りをして、10時45分の船で帰っていきます。観光のスタイルが団体から個人へとシフトしていることもあり、体験型、滞在型の観光を実現しようと考えているのです。
「魚のフライを使ったフィッシュバーガーや島の野菜も使った海鮮ピザなど、色んな形で島の食材を使ったメニューを提供しようと思っています。それから、番屋高島ではアクティビティの提供を予定していますが、その体験場所にもしたいなと。島に来た日は海で遊んでから宿泊して、翌日の11時ごろから海鮮ピザ作り体験をして、それを食べて帰るとか。島の中をめぐって草木を取ってきて、トートバッグを草木染めするとか。」

人と人をつなげる観光は長続きする

アクティビティのメニューは、島一周のクルージング、電気自動車や4人乗りの自転車を使った島散策、サップ…とさまざま。そこにはある思いがあります。
「ただ体験をしてもらうだけではなく、先生役を島民のみんなに担ってもらいたい。例えば、草木染めだったら島のお花の名前をたくさん知っているおばちゃんに先生をやってもらう。そうしたら、あのおばちゃんに会いに行こうと、また島に来てくれますよね。
番屋高島でも、料理は宝当海の駅で調理したものを運ぶから、その時に仲居さんみたいにお客さんとお話しするおばちゃんを入れたいなと。
そんなふうに、私を介していろんな人と人をつなげていきたいんです。人を呼ぶのはもう大得意ですから。
人とお話するのも得意だし、大好き。だから、番屋では毎日『スナック清美』をやろうと思っています。もちろんお客さんが希望すればですが、いろんな人のお話を聞くと、私の中でまたアイデアが1つ浮かんだりするから。」

「要は島全体、人全体で—ヒト・コト・モノって言葉は古いかもしれないですが—やはりそういうのを全部活用した上で島づくりをやって、どんどんどんどん人の輪が広がっていけば、この島って自然と続いていくんじゃないだろうかと思うんです。
漁網修理のクラウドファンディングの際も、10年ぐらい連絡をとっていなかったお友だちがポンっと番屋高島に宿泊するプランを買ってくれました。そういう人たちが島に来てくれたら、絶対何かが起こるんですよ。」

100歳になっても周りの人とにぎやかに過ごしたい

次から次へと出てくるアイデアはどこから生まれてくるのでしょうか。

「こうしたらいいんじゃない、が頭の中にわあってあるっちゃん。島の中を歩いているとそんなことばっかり考えてる。それで、たまたまポンって(土地が)空いたら、よし、じゃあやろうって。」
ちょっとだけよ、と言ってやりたいことのアイデアを島の地図に書き込んだスケッチブックを見せてくれた清美さん。
今後の展望を伺いました。
「番屋高島を軌道に乗せる、カフェレストランのオープンなど色々とありますが、ひとつは老人ホームを島内につくりたい。これから空き家がどんどん出てくるわけですが、1、2年風を通さないと結局住めなくなってしまう。そうなる前に、空き家を活用した老人ホームにしたいなと。
私の祖父母は95歳と92歳だけど、まだまだシャカシャカ歩くし、頭もはっきりしている。でも5年後を考えた時に、島の外のホームに出したくない。やっぱり、この島で最後まで見てあげたいですね。
最終的には自分が100歳になった時に、周りから「おばちゃんおばちゃん」と声をかけてもらえて、みんなとワイワイできたらいいなと思っています。」

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