よみもの

わたしがつくる、さが #2日髙涼子さん(山菜料理人見習い)

わたしがつくる、さが #2日髙涼子さん(山菜料理人見習い)
佐賀県全域地域と人
佐賀県全域

地域に根付いて活動する人が、自身の言葉で活動や想いをつづる「わたしがつくる、さが」。第二回は、山菜料理人見習いとして、野草茶に親しむランチや里山の手仕事に触れるイベントの企画などを行う日髙涼子さん。
山菜や食にまつわる手仕事の体験から人の輪が広がっていくこと、里山の暮らしに触れられる佐賀県内のお店について語っていただきました。

日髙 涼子(ひだか りょうこ)
山菜料理人見習い(佐賀県地域おこし協力隊)
2022年2月に東京都から佐賀県へ移住し、地域おこし協力隊に着任。山菜料理について学びながらその見習い風景をSNSで発信、また月1回を目標に自主企画のイベントも開催しています。
Instagram:https://www.instagram.com/hashi.to.pickel

里山の暮らしを体験する楽しさをみんなに共有したい

山菜料理人見習いのお仕事と始めた理由

佐賀に移住したのは2022年の2月。それまでは、大学卒業後に入社したコーヒーチェーン店で働き、直近は東京で暮らしていました。地方勤務を希望していたのですが叶わず、だんだんと自然豊かな所で仕事と暮らしが近い生活をしたいという思いが芽生えてきました。地方での仕事を探す中で見つけたのが佐賀の地域おこし協力隊の求人や活動内容を発信するSML(SAGA MEDIUM LAB.)に載っていた、山菜料理人見習いを募集する記事。山菜にも佐賀にもゆかりはありませんでしたが、もともと料理好きだったこともあっておもしろそう!と応募しました。

見習いとして、山菜や料理について学ばせていただいているのが「菖蒲ご膳」です。
朝8時ごろから夕方4時ごろまで、弁当づくり、ランチ営業、翌日の仕込み、後片付けとさまざまな作業を皆さんと一緒にします。
初めて見る山菜があればその風味や下処理・調理方法などを教えていただくことも。時々採取にも連れて行ってもらい、どんな場所にあるのか、採り方のコツ、栽培について教えてもらいます。見習いを始めたばかりのころは知らない山菜も多くてすべてが物珍しかったです。

自主企画1「野草茶に親しむランチ」

一年目の終わりに自分で企画して始めたのが「野草茶に親しむランチ」。きっかけはお客様にブレンド野草茶をお出しする際に「今日はドクダミの風味が強く感じますよ」とお伝えしたところ、「え!ドクダミの味ってどんなの?」というリアクションがあったこと。野草それぞれの風味が分かるようになればもっとおもしろいかも、と単体でのテイスティング体験を思いつきました。テイスティングでは採取方法や効能、野草に纏わるエピソードなどをお伝えしています。

店のブレンド茶は菊芋をベースに、季節ごとに変わる3種類の野草を含めた4種類をブレンドしています。野草茶は他にヨモギ、スギナ、キランソウ、カワラケツメイ、桑の葉、ゴーヤなどがあり、最近ではさらに私がセレクトした1種類も試してもらっています。これまでにお出ししたのはモクレン(花)、ハマゴウ(花、葉、茎)、イチジク(葉)、シマカンギク(花)、アオモジ(枝)、マタタビ(葉)、ドクダミ(生葉)など。個人的にはどんな効能があるかというよりは、好きな、また特徴的な風味が感じられる野草が好みで、それが反映されたラインナップになっています。

参加者からは「普段の生活に取り入れたい」「参加者同士の交流の機会になった」という感想を多くいただきます。さらに、最近では菖蒲ご膳の方も乗り気になって「次はこの植物はどう?」とアイディアを出してくださり、そんなやりとりがとても楽しいです。

自主企画2「里山の手仕事を楽しむ・ねこのて会」

山菜料理人見習いとして活動する中で、里山らしい食文化に触れる機会も多く、この魅力も伝えたいと思うようになりました。そこで企画したのが「ねこのて会」。里山の食にまつわる手仕事をイベント化して人を集め、みんなで作業をお手伝いする会です。
これまでに「柚子胡椒のための柚子の皮擦り」「発酵バンチャづくり」を開催しました。
柚子胡椒は作り方を教わりに行ったところ、「柚子の皮を擦る作業に人手がいる」と聞いて企画しました。一年目は地元の方と県内の地域おこし協力隊の参加が多く、佐賀県の文化を教わったり、逆に地域おこし協力隊の活動を知ってもらったりする機会になりました。二年目はリピーターの他、食や手仕事に興味のある人が揃い、作業をしながら自然に会話も弾みました。古湯温泉に遊びに来ていた人が飛び込みで手伝ってくれる場面も。

手仕事に興味があってもなかなか触れる機会がない人に楽しんでもらいながら、人手不足を解消できていると感じます。いろんな人に出会えて楽しいという声もいただき、今年も10月頃に開催できたらと考えています。

これからのこと

今年の夏に山菜アドバイザーの研修を受け、認定されました。
研修の中で「佐賀県は農産物が豊かなため、山菜文化は根付いていない」という仮定を基に山菜を使った地域振興について考える機会があったのですが、受講者から「(九州にはないと思っていた)コシアブラがあるなら佐賀に採りに行きたい」「熊がいないから安全な山菜採りイベントができる」などの前向きな意見をいただきました。
今後は引き続き自身の学びを深めながら「野草茶に親しむランチ」、「ねこのて会」、「YASO LAB.(もう一つの自主イベント)」を開催していきたいと考えています。またイベント開催と並行してSNSでの情報発信や、任期中に訪問した場所や学んだ野草に関してまとめた冊子も作成し配布予定です。詳細はSNSをご確認いただけたらと思います。

山菜料理人見習い日高さんおすすめ!里山の暮らしに親しむスポット4選

森の香 菖蒲ご膳

富士町菖蒲地区の有志の女性たちが結成した「山野草摘み草料理愛好会」を前身としてオープン。山菜料理人見習いである私の一番の見習い先でもあり、県内の料理人の方が食材や学びを求めて訪れることもあります。晩春にはコシアブラ、初夏にはシオデなど、佐賀では珍しい山菜も食べることができます。

bana cha

バナナとお茶を通してhappy lifeを届ける馬場佐和子さんが釜炒り茶の製法を地域の方から習い、今は独自の山の釜炒り茶を作っています。
お茶会やマルシェ出店、茶摘み・釜炒りのワークショップも開催。今年一緒に開催した「ねこのて会」で作った、茶葉を乳酸発酵させた「発酵バンチャ」も完成したのでこちらもぜひ飲んでいただきたいです。

農家民泊あんちゃん家

有明海を見渡せる鹿島市七開地区にある「親戚のおばちゃん家」がコンセプトの農家民泊。春には菜の花、夏にはところてん、秋には四方竹(タケノコ)、冬には焚火など、季節を五感で感じることができます。宿泊だけでなくランチ利用(羽釜ごはん付きのBBQ)や、最近は講師を招いたワークショップも開催。景色と宿を営むあんちゃん(大曲さん)、看板猫のナイナイに癒される素敵な空間です。

佐賀植物友の会

毎月1回、主に佐賀県内で植物の観察会をしています。山菜について学び、誰かに伝えるには山菜以外の植物についても学ぶ必要があると考え参加するようになりました。会員の皆さんはそれぞれ得意な分野があり、植物全般について、キノコについて、昆虫について、カメラ撮影についてなど、散策がてら色々と教えていただいています。
会員になる前にお試しで観察会に参加することも可能です。観察会のスケジュールは会のHPをご覧ください。

中国から伝わる精進料理、普茶料理を守り繋ぐ「おぎ春香会」

小城町の祥光山星巌寺に伝わる普茶料理を復元し、次世代へ継ぐため、毎月第3土曜日に研修会を実施されています。毎回12~16種ほどの料理を班ごとに分担、豆腐でつくる卵焼きと呼ばれる擬き料理や、麻腐と呼ばれる胡麻豆腐など。料理は4人分を一つの大皿に盛り、卓を囲んで各人が取り分けるのが作法です。常時会員も募集していますが、春と秋に開催している食事会に来てみるのもお勧めです。

発酵文化の薫るまち、鹿島市で活動する「チームぬか床」

鹿島市浜町にある明治時代初期創業の漬物たぞうを拠点に、佐賀の伝統漬物である紅梅漬けや梅干し、奈良漬け、奄美大島のミキ、カリフォルニア流ザワークラウトなどなど、いつも面白そうなワークショップを企画されています。過去にはぬか漬けやキムチ作りも。独学では失敗しそうな発酵は講師や一緒に作る仲間がいると安心です。

  • SAGA2024 イメージソング Batons 〜キミの夢が叶う時〜 Reina Washio
  • 企画甲子園
  • SAGA LOCALIST ACADEMY
  • 佐賀で叶える笑顔のくらし サガスマイル
  • 起業支援金 支援対象者募集中!
  • 移住支援金最大100万円支給します。
  • 佐賀な人と未来をつなぐウェブメディア SAGA MEDIUM LAB.